「マーケティングとは何だろう？」とビジネスに携わる人なら、一度は考えたことはあると思います。一般的によく使われている言葉ですが、十分に理解がされてなかったり、実践が難しいと感じたことがあるのではないでしょうか。今回は、マーケティングについて、概要から実践プロセスまでをご説明します。
マーケティングは時代とともに変化し続けています。それは企業活動においてマーケティングに期待される役割が、市場環境の変化とともに変わってきているからになります。
以前は企業側は良い商品を作り、適正な価格を設定すれば売れるという考え方が一般的でした。しかし、モノが溢れた現在ではユーザーの要望は多様化し、限られた市場を獲得するには、顧客視点を重視しなければ生き残れないという考え方が登場します。
「ユーザーが望んでいるモノを提供できれば売れるが、望んでいるモノを知らなければ市場では勝てない」という発想です。それはユーザーの欲しいものを提供し、ユーザー自らが選択してもらい売り上げを上げるということになります。
さらにマーケティングを突き詰めると「ユーザーを魅了する活動」であるともいえます。人の琴線に触れるというエモーショナルな側面と、持続的に利益を上げるという合理的な側面を持ち合わせる必要があります。よって、感性とロジックをうまく組み合わせながら、自社の強み、ユーザーニーズをマッチさせる方法を探索することが重要でです。
マーケティングの実践方法の前に、３つの重要な考え方をご紹介します。
顧客中心主義とは、「常にユーザーの立場に立ってモノを考える」ことです。ホームページ、ユーザー調査などあらゆる手段を用いてニーズを知り、常に顧客を基点に企画行動を構築する活動が顧客中心主義です。
長期的視点とは、「顧客視点の仕組みを作る」ことです。短期的な利益を追いかけるではなく、ユーザーの満足を継続的に高めていくことができる基盤を作りあげることが重要です。
一気通貫とは、「企業全体がユーザーを見て業務を行う」ということです。企業活動のバリューチェーン上の機能、商品開発から製造、販売、管理の全てが一致した思考でユーザーに価値を提供するという意味です。営業が常にユーザー価値を考えたとしても研究部門が自社都合を優先してしまっては、一貫性がないマーケティング活動になってしまいます。
ちなみに、マーケティングの古典「マーケティングの発想法 セオドア・レビット (著)」では、1/4インチのドリルが売れた事象に言及して、「人は1/4インチの穴（効果）を買うのであって、1/4インチドリルを買うのではない。」と説明しました。ドリルを買う見込みユーザーに対して、「何インチのドリルが必要なのか？」「予算はいくらなのか？」と聞くのではなく、「何のために穴を開けたいのか？」「何インチの穴を開けたいのか？」という本当のニーズを思考するのが、マーケティング活動の基本になります。
はじめに自社が置かれている外部・内部環境を分析し、立ち位置を知ることが重要です。そのために顧客/市場及び、競合・自社の環境を確認をします。手法としては「3C」などのフレームを用います。
参考：Web担当者が覚えておきたい「マーケティング戦略の基本ステップ」
次にターゲットを特定するプロセスでは、市場を切り分けて狙うべきユーザー層（セグメント）を特定します。方法としては年齢、性別、家族構成、思考性など多岐に渡りますが、商品、サービスに応じてニーズの抽出方法を検討します。
特定されたセグメントの中で、自社の優位性を確立するには何をするかを決めるのが、マーケティングミックスになります。これは、ターゲットユーザーに商品、サービスを選んでもらうための具体的な中身、価格、提供方法、プロモーションを決定し、シナリオを検討します。
そして、最後にアクションプランづくりで、マーケティング戦略を前提とした実施内容を策定し、実行します。営業活動、提供管理、アフターサービス、継続的な販売機会も含まれます。
マーケティングとは、ユーザーの琴線に触れる活動です。この活動こそが、企業に利益をもたらすと信じて実践することが重要です。そのためには、常に顧客のことを考え、顧客が何をしたいか、そのために何が必要なのかという発想で、商品、サービスを作り、ユーザーのニーズに沿った価値を加えて提供することが重要になります。長期的な視点が必要になりますが、まずはユーザーを知ることから始めて見てはいかがでしょうか。
