「初心者向け」KGI・KPIの違いと設定方法について

Webサイトのリニューアル、運用改善ではKGI・KPI設定が重要になります。しかし正しくKGI・KPI設定ができないために、効果検証が曖昧になったり、目的の振り返りができないことが多くあります。今回は効果検証を確実に行うために、KGI・KPIの概要と設定方法をご説明します。

目次

KGI・KPI、KPIツリーとは?

KGI

KGIはKey Goal Indicatorの略になります。KGIはKPIの最上位に位置する指標であり「目的の達成度」を指標化したものになります。また最上位であるためKGIは1つになり、数値で定義されるものになります。

厳密には企業の最重要指標になるべきですが、Web担当者がコントロールできない指標を設定しても実行性が伴わない意味がないものになってしまいます。よって、KGIの設定は自分たちがコントロールできる範囲の目的の達成度を表す指標とします。

KPI

KPIはKey Performance Indicatorの略になります。KGIを分解していくことで出てくるKGIの構成要素として位置づけられます。KGIが最重要指標であるのに対し、KPIは中間的な指標となります。1つのみのKGIと異なり、KPIは複数設定します。

KPIツリー

KPIツリーはKGI・KPIで構成されておりKGIを頂点に置きます。KPIはKGIを分解して定義します。KPIのどれを上げれば、最終的にKGIも上がるかツリー状にしたものになります。

具体的な例として、ECサイトのKPIツリーを定義してみます。KGIは「売り上げ」になります。売り上げの要素を分解すると、下記のように「訪問者数」「購入率」「注文単価」となり、これらを掛け算で表せます。

ECサイトのKPIツリー例

つまり「売り上げを増やすにはこの3つ(「訪問者数」「購入率」「注文単価」)のKPIのどれかを増やせば良いか?」ということになります。また「訪問者数」を分解してみると「新規訪問者数」「リピート訪問者数」となり、こちらは足し算で表せます。訪問者数を増やすにはこのどちらかを増やせば良いとわかります。

指標の算出式例

このようにKPIツリーは「最上位のKGIを向上させるには、何を増やせばいいのか」を見える化したものになります。

KPIツリーの作成手順(ECサイト)

KGIを決める

まず、KPIツリー作成するにあたりKGIを1つ決めます。ECサイトなら「売り上げ」を定義します。

KGIをKPIに分解する

次に、KGIを頂点に置き、どのような要素に分解できるか検討します。それがツリー下に追加していくKPIになります。分解方法としては、「ユーザーをセグメントに分解するか」「行動を分解するか」の2つになります。具体的には、ユーザーセグメイントを「新規訪問」「リピート訪問」に分類できます。この場合「足し算」の分解になります。新規、リピート訪問者の売り上げを足せば全体の売り上げになります。

行動の場合、訪問者のうち購入者の割合(購入率)と、買った場合の注文単価に分解できます。この場合は「掛け算」の分解です。訪問者数、購入率、注文単価をそれぞれ掛けることで全体の売り上げになります。

また、KPIを分解するうえでの指標は、デバイス別、流入元別、訪問回数別、注文回数、特定の行動有無など、様々に考えられます。この場合、どの指標が妥当かはアクセス分析を行うことで検討できます。

例えば、デバイス別にユーザーセグメントを分解したときに「スマートフォンの購入率が高い」など、あるKPI値に大きな差がある場合は、効果的なセグメント分析ができている可能性が高いです。「スマートフォンの購入率が高いのか?」をさらに分析していくことで、そこから改善のためのヒントが得られると考えられます。

単位をそろえる

KPIツリーを設定時には「単位」をそろえるする必要があります。単位をそろえず分解してしまうと、後で辻褄が合わなくなってしまいます。売り上げなら「円」が単位になります。

KPIツリーの作成手順(BtoBサイト)

ここからは売り上げがKGIにならないサイトの作成手順になります。

KGIを決める

この種類のWebサイトは、サイト内でビジネスが完結しない点が大きく異なります。BtoBサイトのKPIツリーは、「資料請求」「お問い合わせ」「メルマガ会員登録」がKGIになります。

なお、資料請求などはサービス、商品に対して関心はあるものの、強い意思決定が必要としません。ビジネス全体の「中間コンバージョン」として位置付けられ、本来のコンバージョンは資料請求後に生じます。そのため、Webサイト内のゴールである資料請求、お問い合わせの数だけでなく、「顧客に繋がるようになっているか?」という「質の高さ」も求められます。

KGIをKPIに分解する

次に、KGIをKPIに分解すると、下記になります。

まず訪問者については、流入元、訪問回数、ユーザーごとのページ閲覧数がKPIに分解できます。その他に特定の機能、コンテンツを利用したかが影響する場合があります。例えば、生命保険では「支払額のシミュレーション」、体験エステの来店予約では「店舗の地図検索」などが挙げられます。

KPI分解例

KPIツリーの振り返り

定義したKPIツリーは都度チューニングが必要になります。例えば「集客数」というKPIをとって見ても、流入元が広告の場合はどこの媒体か、検索の場合はキーワードは何か、と区切っていくと切り口(指標)が無数に検討できますので、細かく考えれば課題も見えやすくなりますが、あまり小さすぎても施策実行後の改善効果が小さくなってしまいます。

また、時間の経過によって重要な分解の切り口が変化することもあります。例えば、数値の増減が大きく見られた切り口を優先的に確認する方が、改善効果が高い箇所がわかるため、切り口を変更する必要があります。

KPIツリーはコンバージョンの最適化を行ううえで根幹になりますが、仮説で定義しているところもあり、日々見直しが必要になります。またKPIツリーの構造がつかみきれない時には、見直しを頻繁に行い、日々バージョンアップすることで仮説の精度も上がります。

まとめ

Webサイトのリニューアル、運用改善に欠かせないKGI・KPIの概要、設定方法をご説明しました。KGI・KPI定義と振り返りを行うことにより、客観的なウェブ施策の方針、優先度を決めることができます。始めはKPIツリーの運用で迷うことがあると思いますが、是非取り組んで見てください。

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