Webサイトリニューアル、Webサイト改善を実施するにあたり、効果を最大化するにはマーケティング戦略が必須になります。自社サイトのことを漠然と把握するすことはせず、マーケティングのフレームワークを使って現状を整理をすることにより、方針を決めやすくなります。今回はマーケティング戦略の基本ステップをご説明します。
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世界的な有名な経営者であるピーター・ドラッカーは、「マーケティングの理想は、販売を不要にすることだ」と述べたことがあります。この言葉通りマーケティングの本質とは、顧客に売り込まずに自然と売れる仕組みづくりのことになります。マーケティングは19世紀後半から長い歴史があり、集合知によってフレームワーク化されてきました。
マーケティング戦略とは「顧客に選ばれ続ける仕組みづくり」における目的、目標を達成するために、限られた資源を何に投下するのか優先順位を決め、最も効果的なやり方に資源を集中投下することになります。そのため漠然と考える施策を、同列に扱うことは戦略にはなりません。
最も効果的な手法(≒戦略)を考えるには、はじめに顧客(Customer)、自社(Company)、競合(Competitor)の3者の関係を明らかにして、顧客ニーズを把握する必要があります。この3者の関係をそれぞれの頭文字をとって「3C」といいます。この3Cというフレームワークを用いて戦略を検討するのが基本となります。
顧客分析とは自社がターゲットにしているユーザーについての分析です。ユーザーはどのような悩みを持っているか、情報はどこから手に入れているのか、これくらい可処分所得を持っているかなどのデモグラフィック情報と、どんな状況、気持ちでサービス、商品を探しているかといったサイコグラフィック(心理学的属性)情報も重要です。
ユーザーを深く知ることは、成果をあげるための基礎になります。なぜなら相手に印象が残るコピー、コンテンツ、クリエイティブを作るにはユーザー情報が必須だからです。よって既存ユーザーへのアンケート、ユーザーテストなどを行い、インサイトについて深く理解するようにします。
競合として捉えている企業を選定し、その企業のWebサイトが検索上位にされているページ、積極的にリスティング広告を出しているようなページをピックアップしていき、調査対象を絞ります。まずは直接競合になる3〜5サイト程度を調査から始めると良いです。
どの程度Webサイトに力を入れて、どのようなコンテンツを用意しているか。リスティング広告、メールマガジン、SNSなどWebサイト誘導には何を使っているのか。全体のマーケティングロジックはどうなっているのかなど、多面的に調査します。
自社分析を行う場合、ここまで行った顧客分析、競合分析の結果を踏まえて、自社の「強み」「独自性」を生み出す「資源」をリストアップしていきます。見つかりにくい場合は、アンケート、ユーザーインタビューなどを用いて導き出します。
またGoogleアナリティクスなどのアクセスデータも示唆が含まれております。魅力的なコンテンツは往々にしてPV数、滞在時間が長いです。そのデータを元にどのコンテンツが良くて、どのコンテンツに課題があるかといったことを判断します。
Webマーケティング戦略は、リアル環境とは明らかに異なる特徴があるため、その本質を捉える必要があります。Webならではの特徴としては、「ローコスト」「ハイスピード」「計測可能」になります。そしてこの違いからWebマーケティングはリアルと比べ、圧倒的に早く PDCAサイクルを循環が可能です。
Webマーケティングでは、調査、テスト、広告、顧客コミュニケーションにいたるまで、リアルで行うよりも格段にローコストで実現できます、、あたこれらを、ごく少人数で実行できることも特徴です。
Webマーケティングでは、上記ローコストのマーケティング施策を、意思決定から実行、効果測定までハイスピードで行うことができます。
Webでは、あらゆるデータを取得、計測できる上、データを分析するためのツールも数多く提供されております。リアルでは数値化が難しい消費者の行動を検証したり、パターン化することも容易にできます。
消費者自身の情報発信が容易なWebにおいては、企業と消費者は双方向のコミュニケーションが可能になります。そのため顧客管理、顧客関係管理を示すCRM(Customer Relationship Management)という、消費ニーズを把握し、長期的な消費者との関係性を築く戦略が重要になります。
不特定多数を対象としたマスマーケティングが成熟市場では機能しなくなる中、Webではニッチな消費者や、消費者1人1人に対するきめ細やかなマーケティングを可能にします。パーソナルマーケティング、One to Oneマーケティングなどがあげられます。
基本的なステップは、大きく3つの段階に分類されて、「何を」「誰に」「どのように」アプローチするか策定することになります。
まず3Cフレームワークを使います。顧客と競合の外部分析を行い、自社の内部分析と照らし合わせます。こうして何が自社の強み弱みであり、外部にどんな機会、脅威があるのか見えてきます。ここで発見すべきは何が成功要因(Key Success Factor)になるか見つけることになります。通常は自社の強み、外部の機会がKSFになることが多いです。ここで「何を」のフェーズが完了になります。
次にSTPというセグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)のフレームワークを用いて、どの領域で(=セグメンテーション)、誰に(=ターゲティング)、どのように(=ポジショニング)、アプローチするのが効果的なのかを決めます。これで戦略の骨格は決まってきます。
最後に「どのように」具体化するために、マーケティングミックスのフレームワーク4Pを用いて、戦略を戦術レベルに落としこみます。製品をどの価格帯で販売し、流通、プロモーションをするか検討します。
Webサイトをリニューアルする前に、自社の強み、課題などを把握するためにも、マーケティングのフレームワークを使って現状を整理をすることが重要になります。フレームワークを十分に使いこなすまでには、経験、時間がかかりますが、自社を深く知るきっかけになりますので、一度トライして見てください。